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院長のひとり言~国産コロナ薬の実力やいかに~

2022年11月26日|カテゴリー「院長のひとり言
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11月になり、大田市でも新型コロナウイルス感染者が急に増加してきています。このような状況の中で、厚生労働省は今月22日、塩野義製薬が開発した新型コロナウイルスの飲み薬を緊急承認しました。緊急承認は、感染症流行時などに迅速に審査する制度で、今回が初めての適用です。約1800人の治験で、オミクロン株に特徴的な鼻水、喉の痛み、咳、発熱、倦怠感の5症状が改善する時間を7日間程度にし、服薬しない場合より24時間短くする効果があったことから軽症者にも使える、初の国産の飲み薬として認められました。


この薬の名前は「ゾコーバ」。対象者は12歳以上の軽症や中等症の患者で11回、5日間服用します。そう、インフルエンザの時によく使われるタミフルのような飲み薬で、発症3日以内に飲めばウイルスの増殖を妨げる作用があるようです。薬価はまだ公表されていませんが、すでに重症化予防で使用されている2種類の新型コロナウイルスの飲み薬の薬価と同等だとすると、11万円以上となり、とても高額です。ただ、コロナの医療費は公費のため、当面、患者の自己負担はありません。政府はゾコーバを100万人分購入する契約をすでに結んでいて、12月始めには全国の医療機関で使用できるようになるそうです。


これまで、ファイザー、モデルナなど外国の製薬会社のワクチンや薬ばかりであったことを考えると、やっと安定供給が期待できる国産の飲み薬が使えるようになることは、私としても嬉しく思いますし、社会状況を好転させるものとして期待をします。しかし、オミクロン株になってからは、当院の患者さんもほとんどが軽症で通常の風邪薬で問題なく治癒していることからすると、わずか1日早く症状が改善することにどれだけの意義があるのかとも思います。まして、患者さんあたり5万円以上の税金を使うことを考えると費用対効果の面からも、使い易くなったからといって安易に誰にでも使用することは避けるべきではないでしょうか。


国産初の飲み薬ゾコーバが1年後の再審査で医療現場から消えないことを祈ります。

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