今年の4月から帯状疱疹の発症、重症化を防ぐために帯状疱疹ワクチンが国の定期接種に加わりました。大田市でも、今年度65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳以上になる方は、予防接種の費用の一部を公費負担で受けることができます。
近年、帯状疱疹の患者数は増加傾向にあり、特に50歳以上の方々で発症率が高く、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を発症するとされています。
増加の原因は、いろいろあるとは思われますが、帯状疱疹の発症をまず予防するため、そして、重症化して経験した人でないとわからないほど苦痛な帯状疱疹後神経痛を発症させないために、ワクチン接種が最も有効です。
帯状疱疹ワクチンには現在、2種類あり、以前からある子どもの水痘ワクチンと同じ生ワクチンと2020年から日本でも使用できるようになった不活化ワクチンがあります。左の表のように、発症予防効果、重症化予防効果、効果持続期間ともに、不活化ワクチンが比較にならないほど優れていますが、費用も不活化ワクチンが比較にならないほど高いです。
当院では、いち早く、外来にて自費での帯状疱疹不活化ワクチン(シングリックス)の接種を始め、また、職員の福利厚生として、50歳以上の職員には、自己負担なく接種も実施してきましたが、費用は1回22000円で、2回の接種が必要なので、合計44000円にもなります。一方、水痘・帯状疱疹生ワクチンは1回7700円で、費用は5.7倍となります。ただ、効果の持続期間が不活化ワクチンは10年以上、生ワクチンは5年とされているので、費用としては約3倍、不活化ワクチンの方が高い計算となります。
大田市からは、生ワクチン3000円、不活化ワクチン8000円が2回で16000円の自己負担金で接種できるように公的助成があり、助成率は生ワクチン61%(4700円)、不活化ワクチン66%(32400円)となります。
ワクチン接種の副反応が、個人差はあるものの不活化ワクチンのほうが多い(私はほとんど副反応がありませんでした)ことと、金銭的負担が大きいことを勘案しても、難治性の帯状疱疹後神経痛を予防することが最優先であるので、私としては不活化ワクチンの接種を強く推奨いたします。よくよくご検討ください。