今年の3月13日より、マスク着用は個人の判断が基本になると厚生労働省は公表しました。
さて、皆さんは、マスクを外しますが、それとも続けますか?
いきなり、個人の判断に任されても困ってしまう人が多いのではないでしょうか。
物事を判断し行動するには、客観的事実に基づいて論理的に考えることが私は大切だと思っています。
そこで、マスクの有効性について、空気感染(エアゾル感染)も考慮した検証を行った外国の科学論文(https://doi.org/10.1073/pnas.2110117118)を紹介します。
この論文によると、感染リスクの高さは以下のような結果になりました。
●感染者と非感染者がともにマスクなしで1.5mの距離で対面会話をした場合
⇒非感染者の感染リスクは1分半で90%に到達。
●非感染者のみが医療用マスクを着用し、マスクなしの感染者としゃべった場合
⇒1分以内に感染リスクが生じ、30分で90%に到達。
●両者とも医療用マスクを着けて会話した場合
⇒1~2分間は感染リスクが1%未満に保たれた。時間とともに徐々に感染リスクは上がったが、20分の経過で10%、1時間でも20%未満であった。これは、両者マスクをせず1.5mの距離で終始黙って向き合っていた場合とほぼ同等。
●両者あるいは非感染者が医療用マスクをして2人とも黙っていた場合
⇒5~10分間は感染が1%未満、1時間経っても10%未満に抑えられた。
この論文などから、マスクは正しく着用する限り有効な感染予防手段となる、というのが今や世界の共通認識となっています。かつて、マスクは「ウイルスをばら撒かないためのもの」としか認識されていませんでしたが、科学界の認識はコロナ禍で180度変わったのです。
全面的な「脱マスク」は正解ではありません。かといって「いつまでもどこでもマスク」もマスクの悪影響を考えると正解ではありません。大事なのは、人々が状況に応じてマスクのオン・オフを適切に切り替えられること。それを個人の自由意志によって行えることです。そのためには、正しい知識を社会全体として共有し、常に更新していくことが何より必要だと思います。